〈〜が楽しめる〉という表現に違和感を持つ人へ

【A】芳醇な香り楽しめる。
【B】芳醇な香り楽しめる。

どちらの表現もおなじくらいの頻度で目にするけど、じつは【A】は文法的には誤りだ。「楽しむ」のはヒトだから、助詞は「を」を使うのが正しい。

とはいえ、ボクは誤りであるはずの【A】のほうがなじみ深い。というか書きたい。

「を」の場合、ヒトが主語になるから、当然ながらヒトの存在を背後に感じる。でも、たとえばお酒の魅力を伝えるなら、お酒の「香り」を前面に出して表現したい場合もあるはずだ。だからこそ、〈~が楽しめる〉という言い回しも廃れずに残っているのだと思う。

〈〜が楽しめる〉と似たコトバに「見える」がある。「楽しめる」は「楽しむ」の可能形だが、「見える」は独立した単語だから、「富士山が見える」などとモノを主語にできる(反対に「富士山を見える」ではおかしい)。

〈〜が楽しめる〉と「見える」は、読み手に行動の主体たるヒトの存在を意識させず、モノに焦点をあてる点が似ている。そこで、「楽しめる」も独立した単語と見なして、〈〜が楽しめる〉を文法的に正しい表現として認めてもいいと思うのだけど、あなたはどう考えますか?


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この記事は、『Gyahun⑭ コトバ放浪記』に掲載された内容を再構成したものです。

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